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経営学

2016年8月23日 (火)

野中郁次郎・紺野登『知識経営のすすめ』

点検読書221

副題は、「ナレッジマネジメントとその時代」
ちくま新書(1999年12月20日)刊


経営学


現代の企業戦略は、量産製造業型から地域産業型へと移行しつつある。そこにおける知識経営とは、問題解決技能の共有、専門知のネットワーク、顧客情報の共有、顧客との情報共有と提携を管理するものである。また、企業が提供する「売りもの」は、労働者たちの知識技能であり、顧客の問題を解決する知識を内蔵した製品である。


三部構成

1:知識重視の企業戦略への移行(第1章)

2:知識産業時代の経営(第2~5章)

3:知識産業時代の商品(第6章)

コメント
 本書における「知識」とは、単なる情報ではなく、その人固有の技能や経験に裏打ちされた、問題解決能力や顧客についての情報、また問題や課題が発生した際にそれを解決する知識とを結びつける能力などを指します。経営戦略としては、こうした個々人がもつ「知識」を共有し、また結びつけるようなシステムづくりが重要となってきます。
 こうした「知識」への着目は、労働者側のものだけではなく、消費者に提供する製品に関しても、その商品を購入する人特有の技能や経験に裏打ちされた価値観や課題に対応するものであるといいます。
 本書では、そうした製品の特徴を以下のように箇条書されています(221~222頁)。

①外部の情報や知識資産へのアクセスができること
②顧客の特定の問題を解決したり、特定の効用を生み出せること
③ネットワーク、センサーなど外的世界とのコミュニケーション機能を有していること
④顧客との相互作用による製品進化、顧客知の活用ができる仕組みがあること
⑤モノ(ハード)ではかう、ソフトやサービスで収益を得る構造を内包していること
⑥何らかの標準的なソフトウェアやシステムが利用されていること
⑦流通形態・提供形態に自由度があること
⑧機械的機能だけでなく、思考や感情にも働きかけること
⑨単品でなく他社、パートナー製品とも結合できるオープンなシステム製品であること
⑩ソリューション、コンサルティング、さらにはリサイクルなど顧客と共有した知識プロセスで提供されること

 以上のようなことが書かれています。これらの特徴を読んで、我々はその解答の一つが何であるかを容易に答えることができます。

 そう、iPhoneです。

 本書は、1999年に出版されているのですが、iPhoneが登場したのは、2007年です。また、その原型とも言えるiPodが発売されたのは、2001年です。
 本書によると、当時、1995年の指標を使って、国家の競争力が1999年以降2005年にかけて日本がトップになるとマイケル・ポーターが述べていたそうです。その結果は、御存知の通り。まさに1998年からデフレ時代に入り、日本が衰退し始めた時期になります。
 このナレッジマネジメントという考え方は、著者である野中郁次郎氏が提唱して、広められたものだそうですが、こうした発想をまじめに受け取って転換していったのがアメリカでした。それがいまだにイノベーションにおけるアメリカ経済の強さになっているようにも思えます。日本経済全体の弱さに関しては、デフレ対策の処方箋が間違っていたことが挙げられますが、その一方で経営戦略において、性能のいい製品を売れば、消費者は満足するという固定観念により、相変わらず技術一辺倒で進んでしまったのが、こうした結果を産んでしまったのではないか。そうした意味で本書は、まだ古びていないのではないか。そのようにも思えます。

評価 ☆☆

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