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経済思想

2016年1月 5日 (火)

ケインズ「繁栄への道」(1933)

点検読書89

『世界の名著57 ケインズ・ハロッド』(中央公論社、1971年)所収。


経済思想


世界恐慌に対応するための政策としての物価上昇政策の具体策を提示。


六部構成
1:貧困の解消は、資源や労働の量ではなく、新しい考え方を生み出すことで可能になると主張。
2:財政支出の増加は乗数効果によって、控えめに見ても1.5倍程度の国民所得を増加させると説明。
3:物価上昇が景気回復にふさわしい政策であるが、その手法は供給制限ではなく、全世界的に政府による公債支出拡大が適している。
4:世界経済会議にて、共同歩調の公債支出拡大を取り決めるべき。
5:世界的な公債支出を可能にするため、国際通貨制度を創設し、その裏付けのための限定的な金本位制の復帰の提案。
6:結論。


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2016年1月 4日 (月)

猪俣津南雄『窮乏の農民』(岩波文庫、1982)

点検読書88


経済思想


昭和恐慌下の農村社会の現実の姿を、マルクス経済学者の視点で具体的に描写。


三部構成。
初篇:全国の農村を、①養蚕農村、②米作農村、③多角形農村(畑作農村)、④工場・家内工業のある農村、⑤山村、⑥漁村の六つの類型に分けて強硬の影響を分析し、また内部における階層の違いにも着目している。
中篇:政府の農村政策、特に農村経済更生運動をとりあげ、末端の農村でどう受け止められたかが述べられている。
終篇:総括部分として、小作争議に現れる地主・小作の階級対立の諸相と農民運動のあり方について述べられる。


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2016年1月 3日 (日)

ケインズ「私は自由党員か」(1925)

点検読書87

『世界の名著57 ケインズ・ハロッド』(中央公論社、1971年)所収。


経済思想


保守党と労働党に挟まれて衰退し続けている自由党に新しい哲学と路線を提示する。


二部構成
第一部は五つに区分される。
1-1
人間が政治的動物ならば、政党に属すべきだが、ケインズは自由党を消極的支持政党とする。
1-2
現在の自由党の綱領で意味があるのは〈自由貿易〉ぐらいであると指摘。
1-3
世襲議員・企業家という保守党の問題点。
1-4
過激な反体制的心情に引きづられがちな労働党の問題点。
1-5
過去の個人主義と自由放任にとらわれるのではなく、現在に適した哲学・政策が自由主義に必要であることを説く。

第二部は自由党に必要な五つの政策について。
植民地の漸次独立、ヨーロッパ非介入、軍縮と調停という平和問題、地方分権と小さな政府という政府の問題、産児制限・女性の地位向上という性の問題、飲酒制限等幅広い意味での麻薬の問題で、社会主義に飲み込まれないように、社会的安定と社会正義を実現できる経済政策の必要を訴える。

メモ
支持政党をもつということ(161頁)
「もし、人間が生まれながらにして政治的動物だとすると、何らかの政党の所属しないことほど不愉快なことはない。それは、寒々として心細く、つまらないことである。」

自由貿易の信じられるところ(163頁)
「私はもはや〈自由貿易学説〉の粉飾をこらした政治哲学を信じていない。私が〈自由貿易〉を信ずるのは、それが煎じつめたところ、一般的に言って、技術的な点において健全で、しかも知的な点において堅実な唯一の政策だからである。」

世襲と衰退(164頁)
「世襲原則の墨守ほど社会制度の衰退を確実にもたらすものは、ほかにないであろう。人間の手になる制度のうちで、とりわけ最古のものである教会が、世襲の悪弊から免れてきた制度であるという事実こそ、このことを説明する一つの例証にほかならない。」

小さな政府と地方分権(167頁)
「私は、過去においては回避することができたとしても、将来は引き受けねばならない政府の義務は次第に多くなると確信している。これらの目的のために役に立つのは、大臣や議会ではない。われわれの課題は、まず、できるかぎり、いかなる権限も中央から地方へ分割、委譲すること、そして、とくに、半官半民の法人と行政機関を設立して、政府の義務を新旧を問わず委託することでなければならない。」


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2015年12月29日 (火)

ケインズ「若き日の信条」(1949)

点検読書83

John Maynard Keynes, My Early Beliefs, London, 1949.

『世界の名著57 ケインズ・ハロッド』(中央公論社、1971)所収。


経済思想史


D・H・ロレンスから「くたばってしまえ」といわれた若き日の超世俗的・観念的生活の精神史を振り返る。


本書は四部構成である。
第一部は、執筆の動機としてのロレンスとの出会いとロレンスに嫌われたケンブリッジの雰囲気について。
第二部は、ムーア『倫理学原理』が与えた影響として、社会との関わりである「道徳」と無関係の絶対者との関わりである「宗教」の発見とそれへの没入。善・美の厳格な定義づけの流行と快楽の抑圧。
第三部は、外の世界との関係として、伝統・因習的価値への軽視と量に価値の基準をおいて個性に目を向けないベンサム主義への軽蔑。
第四部は、現実から遊離した皮相的な青春時代の回顧。


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2015年12月28日 (月)

ケインズ「自由放任の終焉」(1926)

点検読書82

John Maynard Keynes, The End of Laissez-Faire, London, 1926.

『世界の名著57 ケインズ・ハロッド』(中央公論社、1971)所収。


経済学――経済思想


資本主義を否定するのではなく、その中の自由放任という欠陥を飼いならし、我々の好ましい生活様式を維持できるような運営方式を考えだすべきである。


本書は四部構成。
第一部(Ⅰ)は、個人主義と自由放任の思想的背景を、J・ロックからC・ダーウィンまでの思想史として振り返る。
第二部(Ⅱ・Ⅲ)は、自由放任論の教義化とその修正意見のあらわれ。
第三部(Ⅳ)は、現実における自由放任(無制限の私的利益追求)は崩れつつあるが、国家はなすべきこと、なすべきでないことの区別という問題があること。
第四部(Ⅴ)は、今後の展望として、資本主義嫌いと資本主義への修正を嫌う心情に対して、どのように能率の良い運営技術としての資本主義を説得していくか。



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2015年12月26日 (土)

ケインズ「貨幣改革論」(1923)

点検読書80

『世界の名著57 ケインズ・ハロッド』(中央公論社、1971年)所収。
原題は、John Maynard Keynes, A Tract on Monetary Reform, 1923.


経済学


経済活動における危険は、価値基準ひいては貨幣価値の不安定によって加重される。もし世界全体が健全な原理に基づく貨幣改革を採用すれば、危険は削減される。


五部構成。
1.貨幣価値が各階級に及ぼす影響
  インフレーションは投資家に不利で企業家・労働者に有利。
  ケインズの考えでは、インフレの害とデフレの害では後者の方が大きい。
2.財政政策による貨幣価値の変化
3.為替の理論
4.物価の安定か、為替の安定かといった貨幣改革の諸目標
5.ドル又はポンドを基軸通貨とする安定的な国際金融制度の確立の提案

メモ
「インフレーションは投資家に有害であり、企業家にはたいへん有利であり、また現代の産業状況においては、全般的に言って労働者階級に有利な仕方で富の再分配を行なうということである。」(194頁)

「デフレーションは、……今日のように莫大な法定通貨による債務が存在する場合は、反対に、金利生活者のほうを有利にし、税金の負担は、社会の生産階級にとって耐えがたいものになる。」(195頁)

→この二つのケインズの引用からもインフレ反対・デフレ肯定の論者がどこを向いて、誰の代弁者か分かるというものだ。

デフレ期待とインフレ期待
「根拠が正しくても誤っていても、企業家たちが物価下落の期待をもてば生産過程は抑制される。また、物価上昇の期待をもてば過度に刺激される。」(195頁)

「〔一般物価水準の〕低落を予想すれば、彼らは集団として生産を削減させることによって利益を得る。もっとも、このように強いられた停滞は、社会全体の貧困化を導くであろうが。騰貴を予想すれば、貸入れを増大し、費やされた努力に対して、社会が得る報酬が均衡する点を超えて生産を増大させることから利益を得るであろう。」(196頁)

「物価騰貴も物価下落も同様にそれぞれ短所を有する。前者の原因をなすインフレーションは、特に投資家階級にとって不公平であるので、貯蓄にとって好ましからざる影響をもつ。物価下落の原因となるデフレーションは、損失回避のため企業家の生産制限を導き、労働と企業にとって貧困化を意味する。したがって、雇用にとっては災厄となる。」(199頁)

「ドイツのような極端なインフレーションを除けば、二つのうちでは、おそらくデフレーションのほうが悪い。なぜなら、貧困化した社会では、金利生活者を失望させるよりも、失業を生ずるほうが悪いからである。」(同上)

→主にインフレとデフレに関する箇所を引用したが、右派の人が「アベノミクス」を批判するのはよく分かるのだが、中産階級以下の人びとに目を向けるべき、左派の人が否定するというのは、やはり「安倍晋三」というキャラクターが嫌いなだけなんだよな、と思ってしまう。


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2015年12月17日 (木)

原田泰『日本を救ったリフレ派経済学』(日経プレミアシリーズ、2014)

点検読書73

①経済評論

②金融政策によって物価を上昇させるリフレーション政策は、雇用条件を改善し、自殺者を減らすなど、好結果をもたらした。その一方で批判も根強く、その応答が必要である。またリフレ政策と同時に行うべき成長戦略も提示した。

③12年末からの安倍政権成立以後のリフレ政策の成果を述べた上で、金融政策の無効性を訴える日銀理論への批判、リフレ政策に対する8つの批判(因果関係の否定、賃金上昇がない、財政規律を破壊するなど)に対する反論、リフレ政策と同時に行なうべき規制緩和などの政策集。


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2015年11月26日 (木)

マックス・ウェーバー『社会主義』(講談社学術文庫、1980)

点検読書52

訳者・解説は濱島朗。

①政治思想

②社会主義は、資本主義よりも大規模な官僚制化が不可欠かつ不可避であり、人間性の全面的解放とか支配のない社会とかを約束する社会主義的未来像などはナンセンスである。

③民主化における官僚制化、資本主義化よりも支配を強化する社会主義、『共産党宣言』批判、社会主義実現の路線対立(議会主義、サンディカリズム)、革命の展望は暗い、濱島朗によるヴェーバーと社会主義についての解説。


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