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週のまとめ

2013年3月20日 (水)

3月第3週(『学ぶとはどういうことか』など)

2013年3月11日 - 2013年3月17日の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1457ページ

■日本宗教史 (岩波新書) 宗教や思想は、その時々の社会的要請もしくは累積した歴史の中において生じるもので、歴史を通したパターンや独自性といった「古層」を基礎に形作られたのではない、という問題意識を考慮に入れた上での「日本宗教史」。仏教や儒教以前の日本独自の文化の表出とされる神話も7、8世紀に作られたことを考えれば、それらの影響なしには完成できず、またその後の宗教の展開も神・儒・仏・基等々の相互関係によって形成された。近代以降に関しては、紙数の制限もあり、バランスを欠いているようにも思うが、著者専門の仏教史については勉強になった。読了日:03月14日 著者:末木 文美士

■概説 日本思想史7、8世紀から20世紀いっぱいまでの日本の思想を概説した教科書。主に文学部出身の研究者が執筆しているためか、宗教方面の記述が多く、その辺をあまり勉強して来なかった者としては有益であった。しかし、編著であるため執筆者にかなり個性が見られ、少々読みづらい。また近代以降に関しては、疑問に思える記述もあり、本書を導入として原典にあたって確認するのもいいだろう。読了日:03月15日 著者:佐藤弘夫編

■学ぶとはどういうことか福澤諭吉の『学門のすゝめ』と『文明論之概略』を軸に据えつつ、既存の知識をそのまま受け取る「勉強」だけではなく、その後の「理解」「疑い」そして「超える」の過程を繰り返し、「時処」にかなう考え方を「学ぶ」。政治においても、絶対的な真理や妥協の無さを競うような者は政治から退場すべきだ、という提言はなるほどと思わせる。そこには既に「学ぶ」姿勢はなくなっているのだ。ブレなさを誇るのではなく、多様な意見の噴出(「多事争論」)を如何に「より悪くない」結論にまとめ上げるか、そこに政治における「学ぶ」があるのだろう。読了日:03月16日 著者:佐々木 毅

■織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書) 信長物語や歴史における信長の画期性などを語る本の数は多いが、本書はとにかく合戦だけをクローズアップしたあるようでなかった便利な本。信長の基本戦術は豊かな経済力に裏打ちされた大兵力による戦い、果断な一騎駆け、そして幅広い視野にたった外交戦略。巻末の秀吉、家康との攻城戦の比較を見ると有名な「ホトトギス」の歌はよく表しているな、と再認識。読了日:03月16日 著者:谷口 克広

■政治学をつかむ (テキストブックス[つかむ]) 政治思想や学説史を中心にした伝統的な政治学とも、アメリカの社会科学としての「現代政治学」とも異なり、人々が普通に政治というものを考える際に思い浮かぶテーマを幅広く掲載している。類書と異なる特色は、参照文献や参考文献に2000年代以降の「最新」の研究成果を挙げていることか。その点に「現代」の政治学を意識している。また、最終章の「政治学のこれから」は現在進行形の問題について政治学はどのように考えるかというテーマであるが、それだけに一方の物の見方だけではなく、事実関係だけの方が読者に考える事を促すのではないか。読了日:03月17日 著者:苅部直他編

2013年3月12日 (火)

3月第2週(テラフォーマーズなど)

2013年3月4日 - 2013年3月10日の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1116ページ

■徹底検証 韓国論の通説・俗説 日韓対立の感情vs.論理 (中公新書ラクレ) 韓国での領土問題の扱いが、立場としては変わらないものの熱心に教育現場等で取り組むようになったのは近年のことでむしろ島根県の「竹島の日」以降にヒートアップしていったというのは、そういうものなのかなという印象。また韓国での日本の扱いがひどくなっていったのは韓国における日本の政治的・経済的プレゼンスが低下したことが原因で、日本自体の言及が低下しながら歴史問題だけが突出し始めたとのこと。利益にかかわらないなら、どれだけ叩いても良いということだろう。決定的な解決は望めないので、諦めつつ付き合いましょうとの提言。読了日:03月06日 著者:浅羽 祐樹,木村 幹,佐藤 大介

■俺物語!! 3 (マーガレットコミックス) 今巻は、たけおくんのお父さんの存在感にすべてをもってかれたような気がする。特に何もしてないんだけど。読了日:03月07日 著者:アルコ

■テラフォーマーズ 3 (ヤングジャンプコミックス) 2巻でのエピソードは何だったのかと思わせるような無慈悲な戦死の連続。しかし、この漫画の良いところは、読者の感情移入を切り捨てる無情であり無常なところか。進化の話だし。読了日:03月07日 著者:橘 賢一

■テラフォーマーズ 4 (ヤングジャンプコミックス) 今巻は、メインキャラの犠牲者なし。しかし、1巻もそうだったけど、中国などの登場人物の扱いがなんとも…。附録のアシモフの解説を読むと作者が本編の設定を忘れているんではないかと疑惑が。読了日:03月10日 著者:橘 賢一

■日本人のしつけは衰退したか (講談社現代新書 (1448)) 家族の形態を階層と地域によって区別し、家庭における「しつけ」のあり方を歴史社会学的に論じる。農村や下層労働者にとって、子供の「しつけ」をするような暇はなく、そもそも関心がなく、「しつけ」の機能は有していなかった。家庭の教育力が重視されていったのは、主に経済成長によって新中間層が発生し、経済的余裕や家庭の主婦が「民主化」した結果とも。過去の家庭の教育力を強調するのは、文化人や政治家のような「上層」の人々の経験を全体に及ぼすもので、個人や階層の経験をまず理解した上で、論じなければ、と指摘。読了日:03月10日 著者:広田 照幸

やっと『テラフォーマーズ』を最新刊まで読めた。いろんなところで話題のようで、郊外在住の私には、最新刊とかは手に入らない様な状態で、仕事で都内に出た時にやっと買えたというくらい人気である。で、今のところどうかといえば、「この漫画がすごいか」と問われれば、「すごくない」と答えるしかない。やはり何といってもSF設定がメチャクチャで600年間で人類は全く進歩しなかったのかと思われるぐらい政治、社会、経済状況が現在と全く同じで、言ってみれば現在の先進国において、政治指導者と庶民がお互い異なるものとして考えられて言語が違うとか、切り捨て御免や魔女狩りが公然と行われるとか、そういった社会を描いているようなものである。登場人物のエピソードとかも大体が2000年代前後の社会派の映画や小説で描かれたものの切り貼りである。600年という設定は、ゴキブリが進化して二足歩行になるというそれだけのために設定された時間軸で、作者自身も設定を忘れてるんじゃないかと思わせる記述もある。

しかし、漫画としては、コマケェことはいいんだよ、というわけで、山田風太郎の忍法帖のように異能者が技を発揮したと思ったらすぐ死ぬとか、メインキャラがすぐ死ぬとか、読者に緊張感と予想外の展開を見せてくれるという点で、「すごくない」けど「面白い」ということで、楽しみにしてます。

「しつけ」の問題に関して。安倍晋三内閣が、経済に関して主導的な役割を果して、現在のところ成功を治めているが、その背景にはブレーンに経済学者を置いたという点は大きいように思える。しかし、もう一つの安倍首相の関心点である教育に関して、彼が集めた「教育再生実行会議」のメンバーをみると教育学者の名がほとんど見られない。教育は、誰でも受けたことがあり、また家庭を築いていればその当事者になりうるというわけで、誰でもものが言えるという点で、敷居が高くない分野である。しかし、それでは客観的なデータで確認できる教育論ではなく、主観的な教育論になってしまう。その点がどうも第一次内閣の時から、安倍首相は変わってないような気がする。経済において、一般の人々の蒙を啓いた安倍首相なのだから、教育に関しても庶民的な感覚や文化的に上層階層の人々の印象ではなく、教育学者を会議に多く入れて現在の学問に即した議論によって理論武装して欲しかったものである。

2013年3月 5日 (火)

2月第5週・3月第1週(『沈黙と抵抗』など)

2013年2月25日 - 2013年3月3日の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1254ページ

■新しい左翼入門―相克の運動史は超えられるか (講談社現代新書) 上からの押しつけが生身の個々人への抑圧になってしまう海外知識の硬直的な適応を推進する「知識人」主導の運動と、現場の視野が内向きになって外部に配慮を欠いたり、小ボスの利権と支配が発生して人々を抑圧する現場主義的な運動、という黄金パターンを繰り返す日本の「左翼」運動史。これを相克して創業者としての「知識人」主導、安定期における現場の参加型、そして視野狭窄に陥らないための「知識人」の関与という繰り返しを運動に組み込むことを提示する。アナルコ・サンジカリズムを誤解していたところがあったので、勉強になりました。読了日:02月26日 著者:松尾 匡

■沈黙と抵抗―ある知識人の生涯、評伝・住谷悦治吉野作造の弟子としてキリスト教、マルクス経済学を採るリベラル左派の住谷悦治を通して、大正から昭和期の左派言論人のサークルの出版物などを紹介することで、主流ではないものの当時の地域的・階層的に多様な言論状況をメディア史としても読める。著者は、キリスト教にも社会主義にもそれほどの同情はないとしつつも、住谷の学問や時事問題に対する、その起源や沿革をさぐる歴史的解釈の手法に着目して、学問の内容や水準そのものではなく姿勢を評価する。またそれは著者の現在の時事に関する活動や姿勢にも通じるものがあるのだろう。読了日:02月27日 著者:田中 秀臣

■政治家失格―なぜ日本の政治はダメなのか (文春新書) ロッキード事件の東京地裁判決直前の田中角栄の「俺は明治始まって以来の政治家だ」という放言や、田母神論文問題の際に「すぐクビを斬れ」と命じた麻生太郎首相など著者の目の前でなされた貴重な発言が面白い。また97年の金融危機時に与謝野馨さんが大蔵省の説明を受けて「銀行は絶対潰れない」と述べていたというのは驚愕とともにナルホドと思わせる。彼が「政策通」とされて重用されていた時代が日本の不況の原因の一つだったろう。引退して本当に良かった。あと「ミコシは軽くてパーがいい」は海部さんじゃなくて中曽根さんのことだったのね。読了日:03月02日 著者:田崎 史郎

■テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックス) 話題の作品。面白かったわ。2600年ぐらいが舞台なのに、政治・社会・経済状況がほとんど現在とほとんど変わらないというご愛嬌があるものの、山田風太郎の忍法帖シリーズの如く、異能を発しながら死んでいく登場人物たち。Gのキョトンとした顔と素敵な光沢が良いです。読了日:03月03日 著者:橘 賢一

■テラフォーマーズ 2 (ヤングジャンプコミックス) 舞台設定は相変わらずだけど、長期連載をみこした登場人物の掘り下げが深くなった。小町くんの再登場が嬉しいし、不憫な一郎くん偉くなったのね。後半は前の巻と同様なノリ。続きが楽しみ。読了日:03月03日 著者:橘 賢一

今週もそんなに冊数は読めなかったが、読み応えがあったのは田中秀臣『沈黙と抵抗』。ジャーナリズムで活躍したというよりも活躍せざるを得なかった住谷悦治の評伝。あまりに面白かったので、『現代新聞批判』の転向列伝をコピーして今読んでいるが、細かい小ネタを挟む住谷の情報収集能力に驚かされる。一応、加藤弘之については一通り調べたつもりであったが、住谷の評は知らなかったので有益でした。今度、国会図書館で『京都新聞』のコピーをとってこなければなるまい。

そこで田中先生の叙述で気になったのは、加藤が「民権運動家」から「転向」したという点。住谷の評を読むと、別に加藤を「民権運動家」と見なしていたわけではないから、ここは田中先生の誤解か誤植でしょう。かといって、通説どおりに加藤が「啓蒙専制」であったわけではなく、民権運動が自主的に議会を開くとか、政府を乗っ取るとかではなく交渉によって憲法制定や議会開設を望んでいたことは彼の発言から確認できる。しかし、彼自身は民権運動に関わろうとしなかったので、「民権運動家」ではない。

また経済学者としての住谷悦治と加藤との関連でいえば、高野岩三郎によると明治30年代に工場法成立を訴えていた時に、「要路に立っていた人の間でも、金子(堅)、加藤(弘)、後藤(新)、石黒(忠)、三宅(秀)等という人々は労働者の立場に対しても相当な理解をもっていたように思われる」(「「社会政策学会」創立の頃」、『かっぱの屁』所収)ということで、加藤は住谷が批判的であった社会政策に関心を示していた時期があったようだ。また、加藤の息子の晴比古は社会政策学会の前進の社会政策研究会の創立に関わっていた。加藤自身も19世紀後半の時代思潮を「社会問題」の噴出と見なしていたから、その点への関心はあったし、通説のように加藤の思想を単に「優勝劣敗」の社会ダーウィニズムとみなすだけという単純なものではない。もっとも、後に社会政策では貧困問題は解決できないとして、当時話題になっていた「火星人」にでも聞けば?と投げやりになっていたこともあったが…。

それはともかくとして、明治期の社会政策に関して勉強するには、住谷が導入口であると教えていただいたのは大変助かった。田中先生の専門である経済思想史の新作が読めることを期待したい。

2013年2月26日 (火)

2月第4週

2013年2月18日 - 2013年2月24日の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:954ページ ■政治学第三版との違いを確認するために通読。基本的には変わらないが、原典紹介やサブテーマ等のコラムが第三版では充実しており、また参考文献等もアップデートされていたんだな、と確認。試験用とかなら、こちらで十分用が足りるかも。読了日:02月18日 著者:加藤 秀治郎

■政治学「政治学」を政治学説の紹介としてではなく、民主政治の起源、形成、維持、推進、そして飼い慣らし方というのを考えさせてくれる教科書。「現代政治に対する明快な見通しを得ること」を目的にしているように、歴史や現代政治の実際の動きが詳しく、学問としての政治学固有のものといったものは、本書の課題ではなさそう。気になったのが、「国際金融のトリレンマ」と普通いわれている箇所が「マンデルフレミングの法則」と書かれていたのだが、誤植だろうか。読了日:02月22日 著者:

■信長協奏曲 8 (ゲッサン少年サンデーコミックス) 体をゴシゴシされて本当に色黒かどうか確認されたという弥助をタイムトラベラー仲間に食い込んできたのが面白い。信長に最後まで付き従って、本能寺の変にて行方不明になるのだが、松永久秀といい「炎上」が現在へと戻るきっかけになるという設定なのかな。「歴史上欠かせぬ人物」という表現と家康様の覚醒エピソードのリンクがうまく聞いている。三方ヶ原は三国志の曹操でいうところの抃水の戦いかな。読了日:02月23日 著者:石井 あゆみ

■キングダム 29 (ヤングジャンプコミックス) 今回も熱かった、いや熱苦しかった…。「つまらぬ」男が、蒙武につめこまれてしまいました。昌平君と蒙武のエピソードが30巻後ぐらいに効いてくると思うと微妙な表情がうまく表現されている。読了日:02月23日 著者:原 泰久

■ヤマトタケル (1) (カドカワコミックス・エース) 『神武』の解説で佐治芳彦さんが「次はヤマトタケル」と書いていたが、約20年待った甲斐がありました。面白い。誠実だけど何かとらえどころのない小碓皇子、今にも逃亡しそうな大碓皇子(『古事記』のように殺されなかったのね)、『火の鳥 ヤマト編』へのオマージュのようなヒロイン、そして粗暴な陰謀家の武内宿禰。武内宿禰とヤマトタケルの関係性は、同時連載中の『天の血脈』で神功皇后が登場するらしいから、ヤマトタケルの息子の仲哀天皇の「不審死」との関わりを伏線に引いていそう。ラストの「山の神」との戦いをどう描くか、楽しみ。読了日:02月24日 著者:安彦 良和

この週も政治学の総復習として政治学の教科書二冊、そして漫画だけど歴史漫画好きだね、私も。やはり何といっても安彦良和先生の『ヤマトタケル』が一番嬉しい。面白いとか、傑作とかいうわけでは必ずしもないが、嬉しい。好きなものは仕様がない。子供の頃から『古事記』『日本書紀』を現代語訳とはいえ、読んできた者からすると、これほど斬新で面白く納得のいく古代史解釈はないのだ。古代史は、結局分からないなら面白いものの方が良い。たとえ種本が「トンデモ」であろうと、それでいいのだ。『ナムジ』『神武』では副題が「古事記」であっただけに、そちらの要素が強かったが、今回は『日本書紀』をベースにやっている模様。忠臣の鑑とされた武内宿禰の偶像破壊ぶりに安彦魂がみられて嬉しい限り。

『ドラクエ7』はやっとクリア。総プレイ時間は約60時間。先に進めるのに忙しくて、すれちがい機能とかは、ほとんどせず淡々とクリアした。今作は、フィールド上のモンスターがシンボル化しているので、熟練度上げをやろうと思うと1エピソードにつき、一つぐらいマスターできるため、すいすい進む。しかし、途中のボス攻略後にダーマ神殿がしばらく使えず、次はパラディンだ、と思って僧侶にしていたメルビンが、一人旅を僧侶でやらされたのが辛かった。このタイミングで「しんくうは」とか使える職業にしてないとダメね。

全体的には、楽しめたし良リメイクだと思うのだが、すれちがい通信とかの面白味がもっとあっても良かったかな。石版ダンジョンがそんなに面白くないし、取得できるアイテムもイマイチのような。しかし、行方不明になっていたボルカノがエンディングで何の説明もなしに復活していたのだが、どこかでエピソード飛ばしてしまったのだろうか。まぁ、こういう主人公の出生の秘密とかの説明不足のあたりとか、不親切でプレイヤーの解釈の自由度が高いところがドラクエのいいとこなんですが。

2013年2月18日 (月)

2月第3週

2013年2月11日 - 2013年2月17日の読書メーター読んだ本の数:2冊読んだページ数:610ページ

■丸山眞男の時代―大学・知識人・ジャーナリズム (中公新書) 丸山眞男自身についてと言うよりも、丸山が象徴する「東京大学教授」という表象に対する非東京大学教授の怨望を描く時代史。昭和期の国家主義運動の担い手が、丸山のいうように「亜インテリ」ではなく、本当のインテリ層にも浸透していたという指摘は興味深い。やはり知識へのアクセスの大衆化が、「東京大学教授」を叩く主体が帝大卒の慶大教授(蓑田胸喜)、非東大卒の在野知識人(吉本隆明)等々へと変換していき、現在はインターネットの普及により、さらに誰でも権威に反抗できる時代になったのだろう。安保闘争の動員とテレビの関係も面白い。読了日:02月16日 著者:竹内 洋

■日本人のための世界史入門 (新潮新書) 「右翼と左翼の違いは何?」とか「三国志って結局誰が勝ったの?」ぐらいの人々にあてて書かれた世界史入門。「英雄史観よりも民衆の歴史を」とか、歴史に法則性を見出そうとする玄人好みでない「常識」的な、そして知識人がいくら批判しても大衆に人気の高い石原慎太郎のような「豪傑」というか固有名詞の人物が登場する面白い歴史でないと歴史離れは解決できない等々の長い序文と、ところどころの小ネタをはさみつつ、新書で西欧、東アジア、中央アジア、アフリカを古代から現代まで書ききってしまった手腕はさすが。「だいたい」の世界史。読了日:02月17日 著者:小谷野 敦

小谷野敦氏の『世界史入門』は大変面白かったが、これだけ言葉にこだわるならば、冷戦期の「西側諸国 Western Wold, Western Bloc」を「自由主義諸国」と表記しているが(258~259頁)、「自由主義諸国」という言い方は日本以外では通常せず、「Free World」=「自由世界」が普通というところまでつっこんで欲しかった。西側は、自由世界VS共産主義諸国といい、東側は、資本主義VS社会主義といっている。ちなみに「社会主義インター」を組織する社会民主主義者としては、ソ連が社会主義を自称するのを抗議していたらしい。日本ではなぜか自由主義VS社会主義と体制区別をするようになったが、経済的自由主義と政治的自由主義がごっちゃになっている言論状況があったからだろうか。

今週は、一冊の本を集中的に読むよりも、多数の本を部分的に読んで勉強するという感じだったので、冊数は少なめ。そうなった理由は何よりも3DSの『ドラゴンクエスト7』を買ってしまったのが大きい。

PS版『ドラクエ7』もシリーズ初の視点切り替えができたという点で画期的であったが、リメイク版は完全に3D様式へと転換、奥行きのある世界観を楽しめる。本作の魅力は、主人公が「りょうしのむすこ」という勇者らしからぬ風貌と全体的なキャラクターのかわいらしさというビジュアル面と、シナリオ面での暗さという恐ろしいほどのギャップだろう。最初のエピソードからして、正しいことをしたのであろうか、という後味の悪さで、問題解決の達成感とは程遠い。当時の堀井雄二氏に何があったのか。善悪二分の単純なストーリーが持ち味のドラクエに対して、その他のRPGの擡頭に対抗したものなのか。何よりもそれまでは単に被害者として登場したのにすぎない村人たちが主体的に何かをなす、しかもそれがきわめて後味が悪く、しっかりとした解決もしないというやりっ放し感も半端ない。上げて落とす、落として上げるという人間の自分勝手さや町村の閉鎖性などもシナリオに織り込んでいる。今になってやってみると非常にそのシナリオのできがシリーズの中でも出色のような気がする。

そして、十数年ぶりにプレイして思ったのは、キーファがいた時のシナリオはかなり鮮明に覚えていたのだが、その後、というよりその直後ぐらいのエピソードは全く記憶になかった、ということであった。これもキーファショックの賜物でしょう。

現在は、コスタール解放のあたりまで。しかし、すれちがいシステムのわかりにくさが、ちょっと不満である。

2013年2月14日 (木)

2月第2週

2013年2月4日 - 2013年2月10日の読書メーター読んだ本の数:6冊読んだページ数:1734ページ

■ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」 (宝島社新書) 他国の捏造写真には厳しく、また嘲笑しつつ、自分たちに都合のいい捏造写真には疑いもせずに信じてしまう。物事を咀嚼する能力がなく、気持ちが良いものだけを受け入れ、異質なものを罵倒する。まさに検索で情報を得るネット社会が生み出した現象としてのネット右翼。彼らの問題は、検証能力が低くく、断片的な情報を信じて、アイドル=偶像に盲信すること。そのため、発言者の経歴や著作などを読まず、先入観で人を評価し持ち上げ、そして裏切られる。まずネットに頼らず本を読むこと。もっと賢い右翼になれ、というネトウヨへの叱咤激励の本。読了日:02月06日 著者:やまもと いちろう,中川 淳一郎,安田 浩一

■円のゆくえを問いなおす: 実証的・歴史的にみた日本経済 (ちくま新書) 固定相場制から変動相場制への移行により、政策手段も財政から金融へとシフトしたという歴史的な流れを実証的に分析。細かい点は、分からないところをが多く、その点が読み応えがあると言えるが、何より重要なのは「予想」である。単なる金融緩和の積み増しではなく、不況から脱却するには、「大胆な政策変更」の宣言と明確な目標を掲げて、市場参加者にわかりやすい「予想」を提供すること、これが政府・日銀に課せられた経済の安定政策である、と。読了日:02月06日 著者:片岡 剛士

■池田勇人とその時代 (朝日文庫) 池田勇人の秘書官・通称ブーチャンによる蔵相期から首相退陣後の死までの回顧録。国民によりそい、国民にあるべき方向性を示した指導者として、世論を気にしない吉田茂や議会制民主主義者ではあっても民主主義者とはいえない岸信介との相違をうまく書き表している。しかし、池田本人は、死の直前に「国民をあまやかした政治」をし、佐藤後も続くであろうと悔いていた。池田の目指したものは、豊かな社会を実現した後に自分の国を自分で守るという人づくりで、核武装(!)まで視野に入れた池田の死により、権力維持が目的の自民党政治へと転換した。読了日:02月07日 著者:伊藤 昌哉

■政治学一人の政治学者が書いた教科書として網羅的でわかりやすい稀な本だろう。政治とは何か、政治思想、現代国家、選挙制度とその基盤となる思想、国際政治、政治学の発展等々に加えて、章ごとに関係ある文献を引用して原典のエッセンスを読ませてくれる。また、他の教科書にあるような誤解を解き明かしたり、政治における「言葉」の重要性を強調することで、通常流布されている政治言語についての独特の考察が加わっており便利。読了日:02月08日 著者:加藤 秀治郎

■十 ~忍法魔界転生~(1) (ヤンマガKCスペシャル) 『Y十M』終了後、いつかやるだろうな、とは思っていたが、遂に始まった『魔界転生』。小説では忍法魔界転生が、あまりに凄惨な表現で、漫画で見るとキツイな、とは思ったが、これだけ美麗な表現が可能とは思わなかった。流石です。読了日:02月10日 著者:せがわ まさき

■ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて (g2book) 先日読んだ新書で「在特会」の正式名称を知ったぐらいに、この団体について全く知らなかったのだが、これだけのムーブメントの仕掛け人とは思わなかった。そして、これらの動きの出発点が日韓ワールドカップだったとは。著者が描き出す彼らは、幹部やその周囲にいる人を除いて、思想性があるのではなく、タブーを破る「気持ちの良さ」を求める「フツー」の人々である。しかし、中間層の社会不安や不満を背景に組織化される社会運動が「ファシズム」なのだから、「フツー」であることが逆に警戒が必要である。経済不況からの脱却が求められる。読了日:02月10日 著者:安田 浩一

今週は、「ネット右翼」の著作二冊が光っております。「愛国」は、「左翼」の階級や自覚的な課題設定に悩まずに、自然に入り込めるという魔力を持っている点で、誰でも「フツー」の人を捉えることを可能にする。その点で、リベラル勢力が政権に就くと草の根から「愛国」運動が湧き上がるという側面がある。昭和期のファシズム運動の起点は、原敬内閣成立時期の1918年ぐらいにあり、勢いづいたのは安倍源基によれば統帥権干犯問題で、目に見えて活発になったのは満洲事変以後であった。後者は、政治学者に人気の高い濱口雄幸・若槻禮次郎という民政党内閣という比較的リベラルな保守政権である。現在の市民運動としての「愛国」運動の起点が、日韓ワールドカップで、活発となったのが安倍自民党の参議院選敗北(「在特会」の誕生、2007年)、そして本格的に始動したのが民主党政権以後であったのは当然といえば当然といえる。

しかし、偶然が偶然を呼び、彼らが求めた自民党政権の復帰、しかも安倍晋三首相という「愛国者」たちのアイドルが首相になったのである。今後は、無責任に反社会的な行動を取るわけにも「愛国者」にとって不可能になるわけで、活動は縮小していくであろうし、安倍首相の掲げる経済政策が功を奏せば、自覚的な活動家ではなく、ただみんなとタブーを破って騒ぎたいといういつの時代にもいるフォロワーたちにも仕事が回って活動どころではなくなるだろう。安倍首相は、彼らの期待を背負っているという自覚の下、経済を良くすることで彼らを穏健にしていくよう導いていってほしい。池田勇人が成功したように。

でも、考えてみると、野党時代の自民党の総裁が、穏健リベラルの谷垣禎一氏で、本当に良かったと思う。社会運動と議席を持っている政党が連動することほど怖いものはない。そしてさらに総選挙直前の総裁選で、経済政策の転換を訴える安倍首相が返り咲いたのも、良かった。野党党首ならば、かなり過激な路線に引っ張られてしまったかもしれないが、首相となってしまえば、そうはならないだろうし。偶然が偶然を呼んだのが、現在の状況。

2013年2月 4日 (月)

1月第5週・2月第1週

2013年1月28日 - 2013年2月3日の読書メーター読んだ本の数:3冊読んだページ数:770ページ

■下村治―「日本経済学」の実践者 (評伝・日本の経済思想) 経済企画庁が策定した「所得倍増計画」に参加したのではなく、そればかりか池田勇人首相とともに、そのブレーンとしてそれ以上の経済成長は可能である、と論壇において力強く高度成長の後押しをした官庁エコノミストの評伝。竹中平蔵氏は、下村に憧れて経済学者になったという。現在の状況から60年代を眺めると、日銀のエコノミスト吉野俊彦がインフレ懸念をして下村を批判したのに対し、下村はインフレを上回る生産性の向上を理論的に可能としたところに面白みを感じる。日銀系の議論は、いつまでも変わらないようだ。読了日:01月29日 著者:上久保 敏

■GIANT KILLING(26) (モーニング KC) 序盤の挫折キャラがラストでいいとこ持ってく、山井さんの流れにそった解説→逆転、ジーノの思わせぶりな台詞で流れが変わる、という黄金パターンで今回も楽しませていただいた。しかし、サポーターも含めてこれだけうまくいきはじめると大団円が近くなるのかな。それは少し寂しい。読了日:02月02日 著者:ツジトモ

■トラウマの国ニッポン (新潮文庫) トラウマセラピー、話し方教室、資格取得、地域通貨、田舎暮らし、セックス教本、妻の殺意、日本共産党等々、日常の中で見聞きはするが、その実態はよくわからない団体やそれにハマる人々を取材したノンフィクション。その実態は、驚くほど「ふつう」の人々であり、自分を客観視しつつ「真面目」にハマり込んでいる人々である。その「真面目」さが「異常」なのかもしれないが、著者の軽妙な語り口によっておかしみがある。やはり「真面目」な人ほど、外部から見ると面白い人であり、またそこに狂気も宿るのである。既婚男性は水回り注意。読了日:02月03日 著者:高橋 秀実

2013年1月28日 (月)

1月第4週

2013年1月21日 - 2013年1月27日の読書メーター読んだ本の数:4冊読んだページ数:1293ページ

■UFOはもう来ない前半はすこし世界観に入って行けずに読むのに時間がかかったが、後半は怒涛の展開で、ラストは山本版「幼年期の終わり」。さる著名な進化生物学者によれば、異星人がいればそれは人間と同じ形態であろうとしていたが、本書ではそれは無知な発想を切り捨てられ、音声ではないかたちのコミュニケーション手段による文明の発達は可能という立場。教養小説としては、詐欺師の手口、カルトにだまされない予備知識、UFOの基礎知識を得ることができる。大変楽しめました。読了日:01月24日 著者:山本 弘

■明治維新と征韓論―吉田松陰から西郷隆盛へ古代において中国の皇帝と対等の「天皇」という称号が、中国に朝貢する朝鮮は「蕃国」=属国であるという伝説を必要とし、『日本書紀』にはそうした記述がある。幕末において天皇の浮上とともに古代の伝説が学ばれ、朝鮮は併呑すべき対象として見られるようになった。それが吉田松陰の征韓論であり、西郷隆盛の征韓論も武力行使や平和使節の二者択一ではなく、朝鮮に天皇をいただく日本と同等ではないことを理解させる必要があったのが主因とされる。西郷はともかく、松陰に関しては最後の一年の「非侵略」論への転換の丁寧な分析が必要であろう。読了日:01月24日 著者:吉野 誠

■構造改革論の誤解本書の主張は構造改革は潜在成長率を上昇させる政策手段で、景気対策としては中立である。とりわけ実質と潜在の成長率のギャップがある時点では逆の効果が生じる。必要なのは金融政策と財政政策であり、後者は実質を押し上げるものの止めれば終わってしまい政府債務が積み上がるだけなので、前者によるインフレ期待を喚起すべきとの主張。必要なのは、金融政策による需要の喚起と潜在成長率を引き上げる構造改革で、財政は公共財提供にとどめるべきだという。もっとも構造改革も産業や雇用の構造ではなく、あくまで各種規制撤廃にとどめるべきとも。読了日:01月25日 著者:野口 旭,田中 秀臣

■「一国平和主義」の錯覚安保条約さえあれば戦争は起きないという自国防衛への関心の低下は、実は佐藤内閣以降で、政治の断絶は岸と池田にではなく、池田と佐藤の間にあったという。「保守本流」とされる吉田茂の後継者である池田勇人は、自国の軍事力整備に力を注ぎ、また池田政権ほど自衛隊の社会的地位向上に尽力した内閣はなかったとの指摘は意外性に満ちており、興味深い。現在において、注目すべきはやはり池田勇人であり、その認識を改める一歩としてこの作品は非常に刺激的である。読了日:01月27日 著者:樋口 恒晴

今週は、なかなか良い本を読めた。

山本弘先生の新作もここ最近の作風どおり、人間は「論理的」な思考においてはどうしようもない生物であるが、それを少しづつ向上してきたという信念をもとに希望に満ちた終わり方。以前の人間に失望してロボットに期待するという方向ではなくなったようだ。

最近、仕事の都合で吉田松陰の近年の研究をざっと見回しているが、近年の諸外国との関係を考える上での重要点は、「征韓論」なのだろう。本書においては、「天皇」の存在が近世以前には対朝鮮外交を困難にし、また近代においてもその延長があった、という流れである。しかし、それは漢学的な思考であり、国学的な思考で「天皇」を捉えれば、正名論的な華夷秩序や武力侵略と関わりなく、ナショナル・アイデンティティを獲得できた、そのモデルが吉田松陰であるという桐原健真氏の研究に惹かれるものがある(桐原氏も松陰が完全に朝鮮侵略を否定したとは言っていないが)。

現在のアベノミクスを考えるにあたって、『構造改革論の誤解』は読み返されるべき作品であろう。著者たちは、「構造改革」を否定しているのではない。それ以上の金融政策の必要性を訴えているだけ。金融政策の意義は、単に「お金ジャブジャブ」ではなく、政府・日銀の政策が変更された、しかも明確に目標を設定することで、これまでのような日銀の裁量によって裏切られないという「期待(予測)」を簡明にすることである。本書刊行当時は、「構造改革」一本槍であった竹中平蔵氏が現在では金融政策の重要性を理解するようになり、著者たちの竹中氏へのスタンスはやわらかいものと変わった。今後は、財政が主で金融が従の人々との折り合いをどのようにつけていくかであろう。また、財政派の竹中氏への認識を改めないと、安倍総理への失望につながるだろう。というか、安倍総理しか自民党には明確な「リフレ派」はおらず、彼が病気で倒れたりしたら、目も当てられない状態になるかもしれない。

最後の本は、「一国平和主義」は実は1970年頃に完成されたものであり、それ以前の池田勇人政権までは、自国防衛に確固とした政策志向があり、また集団的自衛権や国連軍への参加といった集団安全保障についても条件付きで可能としたスタンスをとっていた。やはり経済が良くなると内向き志向になる、という現実を見せられたようだが、安倍氏が池田勇人に習うのなら、参院選に勝って選挙のない3年間をどのように有効利用するかが、日本の安全保障に関しては重要であろう。また左派・リベラルの人々は、この「歴史的事実」を参考にして、アベノミクスには賛成して人々に満足させて、その後の安全保障政策や歴史問題に焦点を絞った方が賢い選択となるような気がする。逆に右派・愛国系の人々は、池田勇人のように経済の再生と安全保障に並々ならぬ意思を有した安倍晋三首相が、池田のように病に倒れて、タカ派と思われたが実は安全保障に興味がない人物が「一国平和主義」路線に何となくなってしまったという佐藤栄作2.0総理の出現に注意すべきだろう(父親のイメージでタカ派と思われているが実際は逆である石原伸晃氏がその最有力候補だろうが、石破茂氏も似た感じがする)。

2013年1月22日 (火)

1月第3週

2013年1月14日 - 2013年1月20日の読書メーター読んだ本の数:5冊読んだページ数:1647ページ

■国際秩序 - 18世紀ヨーロッパから21世紀アジアへ (中公新書) 「均衡の体系」「協調の体系」「共同体の体系」という国際秩序の枠組みを思想史的に概観し、具体的な適用過程として18世紀以降の外交史を叙述している。著者によれば、多元的な力の「均衡」として始まった国際政治認識が、商業的相互依存から「協調」へ、そして国家を包摂した価値観の共有による「共同体」へと発展する歴史であるが、「共同体」への道は力の「均衡」を踏まえた「協調」関係によって生じるもので、一足飛びに進むことはできない。現在の東アジアでは日本が「均衡」プレイヤーとして役割を果たさねばならない。現実主義の外交史。

読了日:01月14日 著者:細谷 雄一

■「常識」としての保守主義 (新潮新書) 保守主義とは、自由を擁護し、情況に適応する柔軟性があり、極端に走らず中庸を取る立場であるとし、理性による社会改造に疑い、多様性を前提として統合していく志向を指すという。このような理解から保守主義を実行した主に戦後の政治指導者を解説。一部に引用の解釈の間違いなどがあるものの、自分が保守的であると考えている人ほど読んだ方がいいかもしれない。かつて、保守は「左翼」と区別するために理論武装したが、近年では「右翼」との違いを強調するようである。読了日:01月14日 著者:櫻田 淳

■論語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典) 時代背景から、孔子の生涯、『論語』成立の過程、そして弟子たちの性格と後の系譜がわかりやすく解説。東アジアの宗教的源流として儒教をとらえる著者らしく「未だ生を知らずんば、焉んぞ死を知らんや」を生存している親への仕え方を知らないのに、親が死んでからのことを十分に考えることができようかと解する独特な理解もあり、他の解釈と突き合わせながら読むのもいいかも。読了日:01月16日 著者:加地 伸行

■講孟余話 ほか (中公クラシックス) 『講孟余話』を始めとして、松陰の代表的な論稿が現代語訳で収録。松陰にとって「攘夷」は「鎖国」ではなく、戦う意志を見せること、また実際に戦うことで対米交渉を相手の言いなりではなく、対等な独立国通しで行うことが目的。そのためにも国家元首を天皇に統一した「開国」が必要であり、準備が整い次第こちらから再交渉を行うというもののようだ。この着想は、不十分ではあったが、薩英戦争後の薩英関係や下関事件以後の長州と諸外国との関係につながり、ひいては明治以後の条約改正交渉のモデルともなったであろう。読了日:01月20日 著者:吉田 松陰

■吉田松陰の思想と行動松陰の思想の軌跡を追うことで、東アジアの華夷秩序から対等な「敵国」=独立国通しが互いの相違を認識しあうことで、新たな国際秩序を確立しようとした姿を提示した研究。武力行使する天皇という水戸学的皇国観から、天皇の存在そのものが「皇国たる所以」という国学的尊王論への転回過程を黙霖との文通を境に読書傾向が転換したことを数量的に解明した箇所が秀逸。また山縣太華との普遍・特殊論争は、あえて特殊を主張しなければ普遍的な国際システムに飲み込まれて、独立国通しの国際関係を築けないとの危機意識があったからという指摘は納得。読了日:01月20日 著者:桐原 健真

2013年1月15日 (火)

1月第2週

2013年1月7日 - 2013年1月13日の読書メーター読んだ本の数:3冊読んだページ数:769ページ

■原敬と山県有朋―国家構想をめぐる外交と内政 (中公新書) 近年は新英米派としての評価が定着されつつある山縣有朋の外交構想は、あくまで日本の満蒙権益を維持拡大するためであり、日露戦争後のアメリカのドル外交後はロシアとの協調・同盟によって英米を牽制することで大陸進出を図る。しかし、ロシア革命によってその構想は崩れ、親米路線によって大陸への経済権益を確保しようとする原敬が政権を奪取する。米騒動のような国内の混乱のためではなく、外交構想が原政権を可能にしたというのが、本書の主張。本書構成が原政権前夜、それ以前の原・山縣の略歴、原政権という順番は少々読みにくい。読了日:01月09日 著者:川田 稔

■斉木楠雄のサイ難 3 (ジャンプコミックス) 今巻も燃堂くんが素晴らしい。「占いの店~」のくだりだけで買ったかいがあった。読了日:01月09日 著者:麻生 周一

■日本政治史 -- 外交と権力放送大学の絶版テキストで高額の値がはっており手がでなかったが、その復刻ということで読んでみた。江戸時代から冷戦終了後までの歴史がコンパクトにまとめられており、大変わかり易い。日本政治史は中央権力の権力の歴史という「まえがき」にあるように権力の所在の変遷を中心に叙述され、藩閥政府というまとまりがどのような過程で分化していき、昭和期において収拾のつかない諸利益団体の連合体となって崩壊していったかが分かる。戦後も同様で、90年代の政治改革に邁進した著者の行動には歴史の反省が背景にあったのかと納得。読了日:01月11日 著者:北岡 伸一

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