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アニメ・コミック

2016年12月29日 (木)

藤原カムイ『ロトの紋章 紋章を継ぐ者達へ』26

 出たばかりなのかな、何気なく本屋に立ち寄ったら売ってましたので買いました。

 前巻についてはこちら

 まずはあらすじから。

 ゾルマフィオーレのはなった光の矢からアロスを守るためにアニスは致命傷を負う。その怒りと悲しみに神器に封印されたシュライと呼応したアロスは、覚醒する。その力は、ゾルマフィオーレを圧倒する。同じ頃、ゾルマフィオーレに不意をつかれて生死の境をさまようリーは、ホイミ爺の回復の力により復活を遂げた。
 一方、ジパングにて、イサリはシュライが封じられた神器を神座へと戻すことに成功し、この世界における呪文が復活する。負傷したイサリを治療するため、ベゼルはダブラの聖域を訪ね、聖域の主・ハクラクとヤルバーたちに精霊たちと呪文の成り立ちに関する神話を聞く。
 アリアハンでは、獣王グノンがアロスと対峙し、覚醒したアロスを上回る戦闘力を示す。また、魔物たちと戦うアリアハンの人々は長きにわたる戦闘による疲労で絶体絶命の状態に陥る。その時、シルシルとミシルはメガンテを唱える。それは以前の獣王グノンによるアリアハン襲撃戦の再現と思われた。メガンテにより、魔物たちは一掃された。しかし、呪文とともに消え行くはずのシルシルとミシルは死ぬことはなかった。本来、世界樹が枯れ果てた状態でのメガンテは発動しないはずだったのであった。
 クインゾルマが支配下に置く世界樹の根は、アレフガルドをも侵食していった。竜王は、それに対処すべく城を出るが、そのすきに世界樹の根は竜王の城に張り巡らされた。怒りに狂う竜王は、ドラゴン形態となって対抗しようとするものの、毒により囚われの身となる。
 獣王軍との死闘を乗り切って、つかの間の休息をとるアリアハンのアロスたちであったが、アストロンによってメガンテの攻撃を防いでいたグノンとゾルマフィオーレが再び現れた。冥王ゴルゴナと理性を失った竜王とともに。

 大体こんな感じでしょうか。
 しかし、やはり話があっちへ行ったりこっちへ行ったりで、あらすじを書くだけでも何だか落ち着かない感じがします。今回も話が進んだような進んでないような展開なのですが、このドラクエの世界において呪文はどうして誕生し、存在しているのか、という謎が明かされるというのが、主要なテーマのように感じます。そしてまた、呪文の根源たる精霊たちと主人公たちとが協力するという展開になるようですが、この精霊たちも世界を滅ぼしかねないような連中ですから、どのように落としていくのか。これも後のドラゴンクエストⅠにつながる話になるのでしょうか。かつて多種多様な呪文があった世界から、ベギラマが最強の呪文という、なんとも貧弱なドラクエの世界につながるのかな。

 あと気になったのが、どう見てもモブキャラ顔でしかなかったシルシルとミシルが、精霊に選ばれし者というのもすごいキャラ活用法ですな。また、表紙にもなったことのあるハロルドが、呪文復活した途端に一コマで負けてしまうのもなんとも哀れです。彼に復活の道はあるのでしょうか。

 次巻を楽しみに待っております。しかし、一度通して読んだぐらいじゃ、さっぱり分からんです。そのためのメモでもあるんですが、ここは。

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2016年9月10日 (土)

大和田秀樹『疾風の勇人』2

 

前巻を紹介した大和田秀樹『所得倍増伝説 疾風の勇人』の第二巻です。

 まずは、あらすじから。

 昭和23年12月23日。皇太子の誕生日に、東條英機ら7名の東京裁判の戦犯たちが処刑された。同日、吉田茂首相は衆議院を解散した。それは、極東委員会への吉田の意地であった。
 その総選挙に、池田勇人は生家のある広島県吉名村から出馬する。小学校に集まった有権者の前に池田は、数字を交えた経済・財政論を演説したが、何も理解できない有権者たちは沈黙で応えた。池田にとっては、ほろ苦いデビューであったが、その情熱はたしかに有権者に伝わり、見事、トップ当選を果たす。そして、池田は一年生議員であるにもかかわらず、吉田茂の抜擢で大蔵大臣に就任する。
 池田は、経済安定本部公共事業課長の大平正芳と大蔵省きっての秀才・宮澤喜一を大臣秘書官とする。大平の助言を入れて、党人派の大物・大野伴睦と会談し、大野の心を掴んで、大臣就任を認めさせた。
 大蔵大臣としての池田の最初の仕事は、インフレの抑制であり、またそのために派遣されたGHQ経済顧問・ジョゼフ・ドッジの対応であった。ドッジは、補助金だのみの日本経済の体質を変えるために、補助金を打ち切り、徹底した緊縮財政を推し進めた。池田は、ドッジの方針を受け入れたが、その影響で日本経済は急速なデフレが進行し、ドッジ不況と呼ばれる状況となった。日本では、失業者が溢れ、また復員者を受け入れていたために赤字経営が進む国鉄も緊縮財政の余波で人員削減が余儀なくされ、下山定則国鉄総裁の轢死体が発見されるなど社会不安が広がった。池田は、この難局を打開するためにも、シャウプ勧告を精査した上に、所得税の調整による自然増収を見込んでの減税案を作成し、ドッジに認めさせる。
 ドッジ・ライン、シャウプ勧告といった難題を次々と突破して敵なしの池田は、大蔵大臣とともに通産大臣も兼任したが、大臣就任の時に、醜聞を狙った新聞記者の質問にひっかかって、ドッジ不況下で自殺する中小企業経営者について、「多少の犠牲はやむを得んかもしれんのう」と答えてしまう。この発言が、池田の政治生命に危機をもたらす。

 だいたい、こんな感じですね。
 しかし、あらためて、題名を書くと「所得倍増伝説」って、カッコいいすね。現在の我々は、日本のある程度の豊かさを当然と思ってしまっていて、結構綱渡りの政治情勢によって成立したものだということを忘れてしまっております。そして、その中心にいたのが一人の政治家の選択と強い意志にあったわけですが、そうした事実は国民的記憶となっていないのです。

 ですから、「伝説」なんですね。

 また、「伝説」だからこそ、「物語」となり、本作のような派手な演出と明らかに美化された見た目が可能となります。40代後半のオッサン達の話なのに、見た目が20代にしか見えませんものね。しかし、それも「伝説」なら可能になるのです。50歳の池田と9歳違いのドッジの見た目がぜんぜん違うのも、「伝説」だから良いのです
 さて、男ばかりの暑苦しい漫画だった本作も、川北幸子という女性記者が登場したことで、多少は華やぎましたが、この人にモデルはいるんでしょうか。後に首相秘書官となった西日本新聞の記者・伊藤昌哉は、どちらかというと池田の失言を引き出す側にいたらしいですし、どうなんでしょう。
 それはともかく、次巻は、池田の過去が語られるようです。楽しみに待ちます。

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2016年9月 8日 (木)

藤原カムイ『ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ』25

 例によって、発売されているのを知らずにしばらく経っていたようです。

 前巻の紹介はこちら

 まずはあらすじから。

 世界樹の聖核を取り込んだクインゾルマによって復活した獣王グノン率いる魔物軍とアリアハンで戦うアロスたち。ナイトメアシープと闘うアニスと合流したアロスは、血の魔法陣の術で悪夢に取り憑かれそうになるが、アニスの助けで危機を脱し、二人の「ダブルデインクロス」によって撃退する。
 アリアハン西側で奮戦するシルシルとミシルの元にベゼルが救援に来た。ベゼルは、シルシルとミシルに預けられていた雷の神器に封じられたシュライから、この神器の中には自分以外のものが封じられており、それを解放するためには守人の力が必要となる、と教えられる。戦線の一時離脱を告げるためベゼルはアロスの前に現われる。そこで神器と共鳴したアロスは、神器に封じられたのが、勇者アルスであることに気づく。ベゼルは、ジパングの守人イサリの元へ向かう。
 その頃、クインゾルマの地上での化身として肉体が復活したユイ(ゾルマフィオーレ)と遭遇したリーは、隙をつかれて生死不明な致命傷を負っていた。シルシルらと合流したアロスとアリアハンの人々は、城外の魔物の大軍と対峙し、魔物の死骸を吸収する世界樹の特性を利用して、一点突破でグノンに迫るため突撃を開始した。
 一方、ポルトガ・ロマリア・エジンベアの三国王は、この危機を乗り越えるためにレーベで開発されている魔克爆弾を手に入れる必要があるとし、ロマリア王は交渉役にハイネを送り出す。レーベの法皇との交渉が決裂すると、ハイネはレーベの元研究員の力を借りて、魔克爆弾を強奪する。
 ジパングに到着したベゼルは、ハロルドとの死闘やオウエンを神座への奉納のため、衰弱したイサリと再会する。ベゼルは、シュライの奉納を先代の守人に依頼するが、先代はハロルドを封印しているために、他の精霊を奉じることができなかった。そうした時、イサリが現われ、必死で止めるベゼルやヤルバーに対し、使命のためではなくベゼルのために、精霊を奉じたいと語り、ベゼルとイサリは神座へと向かう。
 そして、アリアハンでは、ゾルマフィオーレが発する魔法からアロスを守るためアニスは倒れた。

 だいたい、こんな感じでしょうか。

 途中、前巻で戦死したアリアハン王が復活したり、死んだはずのポロンの祖父カミーロが生きていた、というエピソードもありますが、後者はともかく、前者はどう本筋に関わってくるのでしょうか。

 今回、あらすじを書いてきて思ったのですが、同時進行の話が多すぎてまとまりがない、という印象を持ってしまいました。そのためか、一つ一つのエピソードが中途半端です。例えばナイトメアシープの悪夢技など、もう少し何か本筋の話にからめても良さそうなのですが、あっという間にしかも危機脱出法に大したヒネリもなく終わってしまいました。また、レーベ編の元研究員の裏切りというか援助も唐突過ぎます。

 いろいろ詰め込みすぎて、かえって話が拡散してしまって、一つ一つの話の印象が薄くなってしまっている。そういう印象を受けました。もう少しメインストーリーを丁寧に描いていった方が、面白く読めるように思います

 前回も書きましたが、本作はキャラクターの印象が弱いです。始まった当初から、群像劇のように様々な人々を主人公に据えて、各エピソードを語りつつ、全体につながっていくというストーリー展開に本作はなっています。その各エピソードで、各主人公たちの人物像をしっかりと掘り下げて、印象付けなければならないと思うのですが、その辺が成功しているのは、イサリぐらいで、実はアロス自体が何だかよく分からん、というキャラクターになってしまっています(でも、イサリは実は女だった、というところでガラリと印象が変わって、そこから感情移入ができなくなったような)。その上、視点の移り変わりが激しいものですから、読者は一体、誰視点で読んでいっていいか、分からなくなってしまいます

 私は、この『ロトの紋章』というか、「藤原ドラクエ」の世界観が好きなのです。本作の二つの世界、二人の関係、二つの価値観といった二項の対立と融合というテーマも好きです。しかし、どうもキャラクターが生きてこないのです。それは、ストーリーが少し複雑すぎるからかな、とも思います。そこが残念なんですね。

 例えば、今回の魔克爆弾のくだりは、前作だったら描かれずに、危機一髪のところで、魔克爆弾で主人公たちを助けて、三国の協力があったんだな、と読者に想像させるだけで済んだでしょう。その分、本筋の方がしっかり描かれていれば、良いのだと思います。
 そんなわけで今回は、少々厳しくなってしまいましたが、面白いかどうかではなく、「好きだから…!! 好きになっちまったから!!!」というベゼルのセリフの気分で読んでますので、つづきも楽しみにしております。

 余談ですが、前作の他のキャラクターは20年の年を取ったかもしれないというように、目が細くなったり、大人びてきたのですが、アルスだけほとんど同じ顔のまま大人の身体に乗っかっているので、何だか違和感があります。どうにかならんのでしょうか…。

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2016年6月 8日 (水)

小畑健『プラチナエンド』

 原作・大場つぐみ、作画・小畑健の新作です。

続きを読む "小畑健『プラチナエンド』" »

2016年6月 5日 (日)

大和田秀樹『疾風の勇人』1

 まさか池田勇人を主人公にする漫画があらわれるとは思いませんでした。たしかに、戦後において最高の総理大臣は誰かと問われれば、池田勇人と答えるかもしれません。東京オリンピックを期に、世の中がガラリと変わったと言われていますが、その前提としての高度経済成長に筋道をつけたのが池田勇人なんですよね。その意味で、もっとも国民生活を豊かにし、もっとも後代への影響力が強い総理大臣とは、池田勇人なのかもしれません。

 さて、この漫画の内容です。

 1947年、まだ東京のいたる所にヤミ市があった時代。とあるヤミ市に、その場にふさわしからぬ異様な風貌をした男がいた。その男こそ、大蔵省次官・池田勇人であった。池田は、ヤミ市を強制捜査に入り、アガリから税金を取るために自ら赴いたのであった。その手際の良さを目の当たりにした国民服を着た男が話しかける。「合格だ。我が"学校"への入学を許可するぞ」。その男こそ、前総理大臣・吉田茂であった。
 吉田茂は、GHQの占領下にある日本を独立させるために、有為の人材を集めていた。その一人が池田であり、もう一人が運輸省次官・佐藤栄作であった。池田と佐藤は、吉田の腹心・白洲次郎の導きにより、吉田邸に招かれ、吉田の計画を聞く。吉田のGHQを「Go Home Quickly」させるための派閥をつくる、という構想を聞いた池田は、大蔵省を去り、吉田学校へと入学する決意をする。
 政権復帰を目指す吉田がまず手を付けたのは、社会党と民主党との連立内閣であった片山哲内閣を崩壊させることだった。吉田は、炭鉱国有化法案の情報を松野鶴平から聞き出し、これを公表することで、保守的な民主党に揺さぶりをかける。これにより、民主党から離党者が出て、片山内閣は崩壊する。これを期に池田は、大蔵省を辞職し、本格的に吉田復権に力を貸すことになる。
 一方、GHQの民政局次長ケーディス大佐は、自分の傀儡政権をつくるべく、芦田均を総理に就任させる。吉田は、ケーディスと芦田内閣を倒すべく策を練るが、民主党からの離党者で吉田学校に入学した田中角栄が昭和電工と芦田との関係に着目した。池田は、復興金融公庫からの莫大な融資を受ける昭和電工が、復金からの融資の一部をワイロとして使っていたことに気づく。これにより昭和電工社長・日野原は逮捕され、昭電疑獄が始まる。この疑獄により、日野原と親しかった芦田は辞職を余儀なくされ、吉田の復権を許さないケーディスは、吉田の民自党幹事長・山崎猛を次期首相に据えようとする。しかし、ケーディスの傀儡になることを恐れた山崎は、議員辞職することによって、この危機を脱し、ケーディスも失脚することとなった。
 第二次吉田内閣が成立し、解散総選挙が行われようとする時、大陸では、スターリンと毛沢東による朝鮮半島統一の計画が浮かび始めていた。

 だいたいこんな感じです。一般にこの著者の代表作といえば、『ムダヅモ無き改革』なのですが、私にとっては、『機動戦士ガンダムさん』の中の『ガンダム創生』だったりします。実在の人物を、本人のキャラクターのカッコよさが見た目に反映させるという手法が素晴らしい作品でした。
 本作は単なる出オチ的ギャグ漫画家と思いきやさにあらず。21世紀の『大宰相』ではないか、と思うほどの大河ロマンの予感を感じさせます。しかし、佐藤栄作は、絶世の美男子と言われた人物だったそうなのでいいのですが、池田もこうなるのか。しかし、男ばかりの世界のなので、秘書官の大平正芳が萌え担当となっております。つづきが楽しみな作品が生まれました。

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2016年5月30日 (月)

藤原カムイ『ロトの紋章~紋章を継ぐ者達へ』24

 

前巻のつづきです。

 最新刊が出てることにぜんぜん気づきませんでした。さらには、気づいてからも近所の本屋さんでは置いていないという具合で、新宿のブックファーストにて購入。この現状、ちょっと困りましたな。

 さて、今巻のあらすじです。

 ついに復活してしまったクインゾルマ。彼女は、世界樹の中心となっていた聖核をも体内に納め、世界樹を自由に扱うことができた。その能力を利用し、地上の主要都市に世界樹の根を張り、魔物や人間を吸収し、そして復活させ、自身の兵とする。その中には、アロスらとともに戦い、非業の死を遂げたユイの姿もあった。肉体のみ復活した彼女は、クインゾルマの意思を地上で体現する者となっていた。その上、クインゾルマは、異魔神時代の魔王の一人、獣王グノンとその部下の四天王も復活させ、かつてアルスを窮地に陥れたアリアハン侵攻を再現する。
 獣王軍と戦う勇者アルスに協力しなかったことを悔やみ続けてきたアリアハン王とその住民たちは、今回は魔物たちとの戦いに挑むが、ユイに化身したクインゾルマのはなった矢により王は戦死する。
 アロス、アニス、リー、ベゼルは、それぞれ手分けして防衛にあたり、それぞれの戦場でアロスはスカルスノーレパード、アニスはナイトメアシープ、リーはギガントエイプ、ベゼルはガルトマーンと四天王と対決する。闇の衣をまとった獣王軍に魔法は効かない。ベゼルは、魔法使いシルシルと僧侶ミシルにアロスに光の玉を使うことを伝達するよう依頼する。魔法の使えない状態の二人は苦戦したものの、なんとかアロスの居場所にたどり着き、スカルスノーレパードを撃退していたアロスに光の玉を使わせる。魔法が使用できるようになったベゼルはガルトマーンを倒し、アロスと合流し、アニス救助へと向かう。
 一方、リーとギガントエイプは互角の戦いを繰り広げていたが、リーとの戦いに純粋な喜びを見出し始めていたギガントエイプに、ユイに化身したクインゾルマは光の矢を放ち瞬殺する。そのユイの変わり果てた姿にリーは驚愕する。

 だいたいこんな感じです。
 前作の最大の見せ場の一つであったアリアハン攻防戦の再現です。人間の弱さとエゴを利用した魔王軍の狡猾さが際立った戦いであり、さらにタルキンの戦死、聖戦士賢王ポロンの覚醒、剣王キラとの合流で聖戦士と勇者がついに揃った名場面です。
 今回の四天王は、黒羊将軍ナイトメアシープ、魔猿将軍ギガントエイプ、魔鳥将軍ガルトマーン、獣魔将軍スカルスノーレパードとなっていまして、前作のそれぞれミナトン、エイプス、バクート、リカンタスと外見は似ているものの名前が変わっています。また肩書も獣魔将軍と魔猿将軍は同じなのに、怪鳥将軍が魔鳥将軍、金羊将軍が魔羊将軍に変わっています。何か理由があるんでしょうか。
 そして、戦う相手の対照は以下のとおり。

黒羊(金羊)将軍: アルス → アニスとアロス・ベゼル(?)

魔猿将軍:     ヤオ   → リー

魔鳥(怪鳥)将軍: タルキン・ポロンとキラ・ヤオ → ベゼル

獣魔将軍:     アルスとキラ → アロス  

 魔猿将軍は、きれいに継承関係がありますが、その他はあるようなないようなですな。
 前作では、この獣王グノン襲撃戦が終わり、聖戦士は揃ったし、勇者として人々から担がれるようになって、本人もその気になっていたのに、血統的には正統な勇者であったジャガンことアランの登場とその圧倒的な強さによって、アルスが死んでしまうという『ロトの紋章』の最大の分岐点がやってくるわけですが、本作においては、そんなことやってる暇はないですよね。この戦いが、異魔神戦での総力戦の前哨戦になるのですかね。それにしては、人間側のコマが少ないような気もするんですが。
 しかし、このように前作の再現をやっているところを目の当たりにして、あらためて思うのは、今のシリーズのキャラが立っていないような気がするんです。
 私は、この作品をこよなく愛しているつもりなのですが、油断すると主人公の名前が出てこない。アルスやキラ、ヤオ、ポロンは出てくるのに、アロスやリーがどうも出てこない。でも、ベゼルは出てくるんです。ベゼルは、藤原先生の『エデンの戦士たち』の印象的な登場人物と同名でおそらく同一人物だから、ということもあるんでしょう。
 しかし、アロスが出てこないというのが、困ったものです。単純に年取ったから、という自分の記憶力の低下が原因のような気もしますが、アロスがどうも魅力を感じさせる、というか、俺たちの勇者である、というところをもう少し見せてくれないと強い印象を持てないんですよね。そう思うと、主人公って、暗い過去を持っていても、何となくカラッとした性格をしていないと、漫画の場合、受け入れ難いんだな、という印象を持ちました。最後に向けて、アロス君には頑張ってもらいたいです。
 次巻にかけては、魂の放浪者となってしまっていたユイはどうなるのか。復活はあるのか。ア・カギの例の件って何?ということが気になるところではあります。次は8月ぐらいでしょうか。楽しみにしています。

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2016年5月29日 (日)

藤崎竜『銀河英雄伝説』2

 

前回に引き続き第二巻です。

 まずはあらすじから。

 自ら志願して惑星カプチェランカへと配属されたラインハルトとキルヒアイス。そこで待ち受けていたのは、ラインハルトの姉であるアンネローゼの前に皇帝フリードリヒ4世から寵愛を受けていたシュザンナ・フォン・ベーネミュンデ侯爵夫人による暗殺計画であった。ベーネミュンデ侯爵夫人の命を受けたカプチェランカBⅢ基地司令官ヘルダー大佐は、フーゲンベルヒ伍長を使い、機動装甲車の燃料を抜いた上で、自由惑星同盟との前線にあたる雪原の地に派遣した。ラインハルトらは、途中燃料切れとなり、なすすべなく待機していたが、惑星同盟の装甲車三台が近づいてきたのを発見する。ラインハルトは、これを好機ととらえ、まずロケット弾で装甲車一台を破壊し、その後は白兵戦によって、4人の兵士を倒し、残り四人を策によって戦闘不能に追いやり、食糧を手に入れる。
 その後、暗殺計画の首謀者をおびき出すために無線で救援を送り、ヘルダー大佐とフーゲンベルヒ伍長をを亡きものとした。ヘルダー大佐らは、行方不明を処理され、ラインハルトらは昇進した。
 一方、自由惑星同盟では、後の立憲制の指導者ユリアン・ミンツが、ヤン・ウェンリーの養子となっていた。

 こんな感じです。
 ついにヤン・ウェンリーが登場したわけですが、やはりユリアン視点でこちらの方は語られるようです。たしかに本作におけるヤン・ウェンリーは、神の視点のような人物ですから、そちらの方がふさわしいでしょう。
 思った以上に、藤崎銀英伝、悪くないです。次の巻が楽しみな作品となりそうです。

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2016年5月27日 (金)

藤崎竜『銀河英雄伝説』1

 約十年ほど前の創元社SF文庫版が出た時に、原作を全巻読みました。平行して、アニメ版もみたのですが、あまりに長すぎて、ロイエンタールの死ぐらいまでみて途中退場となってしまいました。それはいいのですが、原作は面白かったね。田中芳樹作品では、『アルスラーン戦記』の第一部と『銀英伝』本伝だけは読みましたよ。
 本作は、その『銀英伝』のコミカライズです。以前にも道原かつみさんの漫画版はあったのですが、こちらは未読。私が、漫画版を読むのは本作が初めてです。
 さて、あらすじです。

 人類が宇宙に進出してから1500年ほど経った西暦3586年。宇宙は、専制君主国の銀河帝国と民主共和国の自由惑星同盟に二分され、両者は150年もの長きにわたって戦争状態にあった。
 物語は、その一方の銀河帝国の首都星・オーディンの一般庶民居住区に没落貴族のミューゼル家が引っ越してくることから始まる。ミューゼル家は、事業に失敗した父と姉弟の3人家族で母親はすでに他界していた。隣りに住む少年ジークフリート・キルヒアイスは、ミューゼル家の長男ラインハルトと姉のアンネローゼと親しくなり、幸せな日々を過ごす。しかし、美貌のアンネローゼに目をつけた者により、彼女は銀河帝国第36代皇帝フリードリヒ4世の後宮に入ることとなった。姉であり、母代わりであったアンネローゼの喪失に、ラインハルトは激怒し、皇帝を倒し、姉を解放することを誓う。
 ラインハルトは、そのために軍人を目指すこととする。戦時下において、皇帝に近づく最短のルートは軍人として出世し、政権内部に入り込むことだと、彼は判断し、その腹心としてキルヒアイスを呼び出し、ともに帝国軍貴族幼年学校に入学する。学校で、常に首席を通したラインハルトは卒業時に、皇帝から直接勲章を得ることとなり、対面し、あらためて皇帝打倒を決意する。そして、ラインハルトとキルヒアイスは、志願して前線である雪と氷の惑星カプチェランカへと配属された。
 一方、自由惑星同盟では、帝国軍に包囲された惑星エル・ファシルから民間人300万人を脱出させた士官学校を卒業して二年目の中尉ヤン・ウェンリーが二階級特進で少佐となっていた。

 だいたいこんな感じです。原作では、銀河帝国の概略が述べられているところで、このエピソードが簡単に述べられているだけで、すぐにラインハルトとヤン・ウェンリーとの戦いが始まったと思います。たぶん、外伝の『黄金の翼』のエピソードから本作は始まっているんでしょう。何となくアニメ版でみたような気がします。
 多少、絵に抵抗感がないわけではありませんが、なかなか面白いのではないでしょうか。本作は、ラインハルト一代記という性格を持った話でありますから、ラインハルト中心で物語を始めた方が漫画としては締まるのだと思います。
 民主共和制の連邦国家に対立するのが、近代初期の西欧の君主国をモデルにした帝国というモチーフによって、何となく我々は前者に近い環境に生きていますので、そちらに肩入れしてしまいますし、TVアニメだったら、そうなるでしょう。現に、敵方の軍服を19世紀的なスタイルにした『機動戦士ガンダム』では、ジオン公国は敵で、地球連邦が主人公側です。本作も、アニメ版はどちらかというと、自由惑星同盟を応援したくなるようなつくりになっていますが、その一方で民主共和国の醜悪さも表現されていて、単純に善悪を分けることができません。
 そして、本作は、主人公を明確にラインハルトに寄せているので、自由民主主義社会に生きながらも、専制君主国の視点で物語をみていくことになります。ラインハルトの目的が腐敗しきった王朝打倒という物語でもあるので、そこは主人公足りうるのですが、彼自身は、明らかに反民主主義的で貴族趣味で独裁者なわけですから、そこが少々面白く思います。何となく、『ガンダム』のこれまた独裁者となるシャア・アズナブルを主人公にしたアニメ映画が上映されている時代に見合っているのかもしれません。
 この巻では、「敵」役ヤン・ウェンリーは、その片鱗しか現れていませんが、次ではどのように描いてくれているのでしょうか。楽しみです。

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2016年5月25日 (水)

島本和彦『アオイホノオ』15

 島本和彦先生の自伝的漫画の15巻目です。

 例によって、前の巻が出たのがしばらく前なので、この巻を買う時も、表紙は違うような気がするけど、その間に別の巻が出ていないだろうかと不安になりつつ、読みましたが、どうやら問題ないようです(本棚調べればいいんだけど)。

 前巻では、小学館新人コミック大賞の佳作に入賞したホノオくんは、上京し、他の受賞者とともに編集部からねぎらいの会に招かれるが、自分と他の受賞者との差に悩み、またかつて自分を評価しなかった編集者がつくことになり、ガッカリという展開でした。
 今巻では、その編集者がやはりホノオくんを見放し、落選候補の中から拾い上げた新人編集者・三上が担当になります。しかし、三上は、大物漫画家・新谷かおるの約束はクソの役にも立たないという姿勢に振り回されて憔悴し、ホノオくんの面倒が見られない状態です。そんなホノオくんですが、大学生生活をエンジョイし、婚約者のいるワンダーマスミが気になって仕方がないという青春の苦悩を抱えながらも、自身の漫画が掲載された『増刊少年サンデー』を手にして、プロになった実感を得ます。
 一方で「DAIKON3」を成功に導き、一躍、アマチュアアニメ会の注目株となった庵野秀明、赤井孝美、山賀博之は、東京のアニメ制作会社からオファーを受けるのですが、絵がかけない山賀一人が上京することにし、残りの二人は引き続き「DAIKON4」制作にあたることになります。

 だいたいのあらすじは以上のようなものです。
 今巻のすごいところは、昨年、地元の漫研のクリスマスパーティーのプレゼント交換で、オリジナルイラストパネルを持参し、不評であったにもかかわらず、大学のSF研でのクリスマスパーティーのプレゼントに、自作のカレンダーを作成しようと言う意欲があったことです。ほぼ実話なのだから、本当に島本先生はこれをやったのでしょうが、すごいメンタリティーですね。心が折れているようで、全く折れていない。今年は、自分はプロになったのだし、という切り替えもすごいのですが、これぐらいの自信がないとプロにはなれないんですな。自分の漫画は、万人に喜ばれるものだ、という核が心にないと、やってられないのかもしれません。
 この点は、山賀さんにも通じるところがあります。彼も、食いっぱぐれない人生、という人生哲学があります。それ以外のことは、どうでもいいのです。ですから、自信を持って、恥ずかしげもなく、「何もできません」といえます。普通の人は、他人の目を気にしますが、自分という人間の核がどこにあるかを定めてしまえば、そのようなものは気にならなくなるのかもしれません。そうした自己の確立があるからこそ、彼はつねに自信を持ち、他人の中に入っていけるのでしょう。ここにも成功者のモデルがあるといえるでしょう(ホントか)。
 それはともかく、ドラマの方ではデビューが決まったことで最終回を迎えたのですが、原作の方も、そろそろ終幕へと向かうのでしょうか。あと、3巻ぐらいで終わってしまうのですかね。そこは寂しいですが、次巻を待ちたいと思います。

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2016年5月22日 (日)

原泰久『キングダム』37

 積読していた『キングダム』のつづきです。

 前回に引き続き、魏の国境・著擁での秦軍対魏軍の戦いです。前巻で、魏の紫伯の槍に敗れた王賁でしたが、闘いの中で紫伯の槍術を見切り、そして彼の生に対する執着心のなさを自身の大望への気迫によって打ち破ります。一方、飛信隊と凱孟との戦場は、信と凱孟の一騎打ちが行われる中、荀草と河了貂の戦術対決が行われ、河了貂の策により戦場を制し、凱孟軍は撤退します。そして、戦場は魏軍の本陣・呉鳳明を目指して、秦が軍を進めます。その中で、飛信隊の羌瘣が単身本陣へと突入し、呉鳳明を討ち取りますが、それは影武者で本人は退却します。その途中、籐軍と戦っていた霊鳳と合流しましたが、信の突然の襲来に霊鳳が討ち取られ、呉鳳明は命からがら撤退となり、秦が著擁を制します。
 一方、秦本国では、嬴政の母・大后が呂不韋が差し出した宦官・嫪毐を山陽長官に推し、認めさせます。そして、大后には嫪毐との間に子供がおり、二人は秦の北方・太原で毐国の建国を宣言し、反乱を起こしました。

 この巻のあらすじはこんな感じです。思いの外、著擁戦は、あっさりと終わってしまいました。紫伯が、不憫です。前回では、結構、悲劇的なエピソードを添えて、中華一の槍の使い手という設定をもらったのに、最期は結構あっさりと退場してしまいました。こんなところで、中華最強の槍の使い手をやっつけてしまうと、槍の技量自慢の王賁は、今後、見せ場があるんでしょうか。そう考えると、王賁も不憫です。
 さて、物語はついに嫪毐編に移りました。嫪毐は、自分のナニで車輪を回せるほどのスゴイヤツを持っているという人物で、好色な大后のために呂不韋が用意した人物でした。これまでも顔を隠した大柄な人物として登場していたように思えますが、今回、ついにベールを脱ぎます。果たして宦官に紛れ込むだけあって女性的な美男子か、凱孟的な豪傑君なのか、と思っていたら、何か足りなそうな顔をしている男でした。
 普通に歴史書を読んでいると、何か勘違いした嫪毐が、大后とその子供たちを推戴して反乱を起こしたという印象でしたが、本作では大后主導の反乱で、嫪毐は巻き込まれた哀れな男のようです。今のところ、彼は足りないキャラ造形になっていますので、巻き込まれたというのも悲劇になっていないほど、ただ汗かいて大后の横にいるだけですが。
 本作は、やはり戦場での「ルアーッ」的なバトル漫画のなので、秦の政争は結構あっさり終わってしまうような気がします。この嫪毐の乱も何か唐突なような気もするんですよね。
 さて、どうなるものか。次の巻を読んでみようと思います。

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