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2017年2月16日 (木)

青空文庫を読む(3)

 番号は前回のつづきになります。

23.吉野作造「蘇峰先生の「大正の青年と帝国の前途」を読む」

 当時のベストセラー『大正の青年と帝国の前途』を吉野作造が読み、今の青年に忠君愛国の精神がないと嘆いている蘇峰に「何の感想も浮かばない」と切り捨てている。明治の蘇峰は、「天保老人たちよ、去れ」と鼓吹する青年の代表であったが、次世代の思想家・吉野作造による世代交代を象徴するエッセイ。

24.喜田貞吉「国号の由来」

 百済人が、「東方」を意味する「日本」という言葉で、現在の「日本」を呼んだことに始まり、「日の本のヤマト」と「ヤマト」の枕詞であった「日本」を「ヤマト」と訓ずるようになり、それが当時の唐王朝の発音で「ニッポン」、つづまって「ニホン」と呼称するようになったと述べています。「日本」もしくは「日の本」が「東方」を意味する言葉であったというのは、後々の日本語においても東北地方や北海道、千島列島を「日の本」と表していたことからもわかるといいます。本筋からは外れるものの、邪馬台国問題に関しては、神功皇后時代に滅ぼされた筑紫地方の山門の土蜘蛛の祖先であろうとしています。つまり、倭国は「日本」に滅ぼされたのであった、というのが喜田の主張です。

25.津田左右吉「建国の事情と万世一系の思想」

 神話と歴史の違いというものを強調し、歴代天皇の系譜は崇神天皇より前は信用がならないし、歴史的事実の記録としては仲哀天皇までは当てにならないとします。しかし、津田が強調しているのは、系譜的に認めても良い崇神天皇より前から、近畿地方に皇室の祖先が周辺の小国の中で指導的な立場にあり、神武天皇の東征というような分かりやすい事件によって建国の時期があるというよりも、長い歴史的過程を経て漸次に形づくられたのが日本の建国であって、特定できる建国の時期はない、というものです。
 このように始まりが明確でないところに、皇室の特殊性があり、それだかこそ、昔から続いているものだから、それを廃止するよりも長く維持させようとする思想を歴史的に形成された、とも述べます。そしてまた、皇室は「国民的結合の中心であり国民的精神の生きた象徴であられるところに、皇室の存在意義がある」と指摘し、国民主権となった時代においても、それに適合した皇室あり方を考え、「われらの天皇」として愛することが民主主義の徹底した姿である、と主張しています。

26.菊池寛「応仁の乱」

 応仁の乱についてのエッセイであるが、将軍継嗣問題や日野富子などはほとんど言及せずに、足利義政、細川勝元、山名宗全の三者の個性のぶつかり合いとして描いています。義政に関して、統治者としての能力はないものの、あれだけの大戦争を引き起こしながらも将軍の地位を守って生き残ったのだから、大した「政治家」であると評価している。何だか、『三国志』の劉禅有能説のような話で、統治者としての能力と保身に長けた小利口さとは別の才能なんでしょうな。

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