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2016年1月17日 (日)

若井敏明『邪馬台国の滅亡』(吉川弘文館、2010)

点検読書100

副題は「大和王権の征服戦争」。


歴史――日本古代史


『魏志倭人伝』を素直に読めば、邪馬台国の所在が北九州一帯にあったことは明らかである。また、『古事記』『日本書紀』の景行天皇の熊襲親征と仲哀天皇の北九州親征の記録を合わせて考えれば、女王国の範囲とその滅亡の過程がおのずと明らかになる。つまり、邪馬台国とは、北九州の地方政権であり、同時期に大和地方で勢力を増していた大和王権に征服された国なのであった。


五部構成
1:プロローグとして考古学に頼るのではなく、文献資料を十分に活用すべきことを主張。
2:北九州の邪馬台国と近畿の大和王権の併存を主張。
3:続柄の不明確な天皇を一系としてしまったとの指摘や王族中心の国家経営について。姻戚関係などを元に類推。
4:大和王権の起源として、玉・刀剣・鏡を神宝とするのは九州王権の特徴であり、二世紀初頭の帥升の時代に博多湾から玄界灘の沿岸(筑紫の日向)から東遷した人物ホホデミがいたことを主張。
5:卑弥呼後の邪馬台国とその滅亡。

コメント
 「女王国の東に海を渡ると国があって、それらも倭種である」という趣旨のことが『魏志倭人伝』に記述されているので、邪馬台国は九州にあると考えるのが自然だと思うが、世間では先端地域=邪馬台国というイメージがあり、近年の発掘結果から、大和纒向が有力となりつつある。しかし、著者もいうように、戦国時代に関して日本側に史料がなく、中国の史料で大内氏や大友氏の繁栄の記述があったら、我々は大内氏の本拠地を戦国時代の中心地である京近辺にあると考えてしまうのだろうか。古代の一元的勢力観ではなく、多元的勢力観を提示して、近畿説を否定したのは嬉しい限り。


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コメント

邪馬壱(臺)国の表記を無視して邪馬台国とする学説がまだまだまかり通っているのが不満です。邪馬台国が滅亡したというなら、あの弥生遺跡からみつかるおびただしい漢鏡や鉄器、青銅武器の存在は何なのでしょう。あるいは太宰府や水城、神護石山城や古代山城が弥生・古墳時代以後に出現したことが理化学年代測定により判明しているのに、無視されているという現実。実に嘆かわしい。筑紫の日向とは背振山地周辺のおびただしい弥生遺跡の数々を指しているのではないのでしょうか。それらはなぜ記紀や中国史書の記述と無縁だというのでしょうか。通説ありきの学問ではないと思うのですが。

名無し様

 コメントありがとうございます。「邪馬壱国」論争については、あることは存じておりますが、詳しい内容はわかりかねますので、何ともいえません。
 本書に関する限り、、「邪馬台国滅亡」といってもローマによるカルタゴ滅亡のように草木も残らぬほど破壊するのではなく、外交権を持つ九州政権を統治下においた、という意味になりますから、遺跡が残っているのは当然といえば当然と思います。7世紀まで現存したという九州王朝説をとらなくても、遺跡の問題はクリアされるかと。

記紀に卑弥呼や邪馬臺国のことが何もかかれていないことが重要です。同時期にヤマトの近くに邪馬臺国があれば、記紀も何らかの記述を残すでしょう。神功皇后を卑弥呼と間違えているようじゃ、どうにもなりません。邪馬臺国が大和朝廷の先祖であれば、卑弥呼をアマテラスにするでしょうし、滅ぼしたのならば妖術を使う女酋長をやっつけたと書くでしょう。やはり3世紀前半の邪馬臺国卑弥呼は九州で、ヤマト王権の崇神王は橿原で、両者は関係がなかったのが実態。

コメント、ありがとうございます。
名無し様は、若井氏の著書を読まれた上でコメントされているのでしょうか。本作は、所謂通説とは異なる古代史像を提示している、かなり個性的な作品です。本作又はその感想に関わりのあるコメントでないと、こちらも困惑してしまいます。
また、女王国について記紀に書かれていないとのことですが、『三国志』の記述を信じれば、卑弥呼自身は狗奴国との交戦後に死亡しています。後継の女王については、例えば『日本書紀』景行天皇十二年に筑紫国の神夏磯媛という女酋長を降伏させたという記述に関係があるのかもしれません。
何々が書いていないものは否定とかではなく、様々な視点を楽しんだ方が読書は楽しいと思いますよ。

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